実際の施設として

実話から考える、女性の貞操観とは何を意味するのか

すべてが実話の下に描かれている

あなたを抱きしめる日まで、マグダレンの祈り、どちらもすべてが実話となっている。どちらも信じがたい話だが、前者よりも後者の方が信じられないと思っている人がほとんどでしょう。無理もありません、ですが真実なのだ。実際、微妙に異なりますが施設は確かに存在していたのです。

ヨーロッパは最西にある国、アイルランドにはかつてマグダレン洗濯所と呼ばれる施設が確かに存在していた。ここには劇中で語られている、婚前交渉をしてしまった、あるいは未通であるにも関わらずふしだらと認定された女性たちが、反論の1つも告げられないまま収容されていたのです。やらされていることは、その名の通りに強制労働がその実態だった。戒律に基づいて規則正しい生活を過ごす、などと健全なものではなく、人権など存在しない、社会の中でも暗部と呼ばれる場所に多くの女性が送り込まれ、そこで生涯を終えてしまった者もいるのです。

本来であればこれらの事実が表沙汰になることはありませんでした、それというのもこれらの洗濯所と深く関係していたのはアイルランドそのものが背後にいたからだ。送り込まれたが最後、抜け出せる可能性が殆ど無い極限状態で、無理やり怪我されてしまった少女・女性たちはもがき苦しむ日々を過ごす事になってしまうのです。

癒着していた

マグダレン洗濯所で行われる労働はまさに奴隷奉仕ともいうべきもので、いくら働いても無報酬だった。それこそ神に背いた罰とばかりに刷り込まれていたため、当時殆どの少女たちが疑問にすら持たなかったと考えるほうが正しいのかもしれません。そんな実態がどうして暴かれること無く、ずっと機能し続けていたのかというと、国のあらゆる施設が洗濯所と契約を取り交わしていたのだ。その中にはホテルやビールメーカーなどといったところの他、なんと軍や政府の政庁までもが取り交わしていたのです。

国としてもそんな事実が明らかにすることもなく、ただただ教会のしていることに間違いはないとまで信じていたのではないだろうか。中世の時代において、政府機関よりも教会権力のほうが圧倒的に強かった時代は確かにあった、特にアイルランドの場合はカトリック教派の中でもヨーロッパの最西に位置していたため、特に根強く信奉されていたのです。

そう、歴史的事実としてそのような暗部がまさか教会の裏側で行われていたことを知らない人がほとんどだった。一族の恥として送りつけた家族にすれば大した問題ではありませんが、そんなことをする子ではないと信じる親にすれば、我が子が何をさせられているのかなど、知る由もなかったのです。それは働かされている少女たちにしても、いま自分たちがこうしているのは当然のことと、刷り込みさせられるように、覚えさせられていったのです。

人手に渡ったことで明らかとなる

そんな闇が明らかにされたのは、なんと今から23年ほど前というから驚いてもいいだろう。何せ最後の施設が運営されていたのは1996年というから、その3年間でもいくらかの女性たちが送り込まれたか知る良しもありません。

数十年という単位で気取られること無く、社会の闇に葬られ続けていたマグダレン洗濯所の事実が明らかになったのは、かつて施設運営がされていた場所が人手に渡り、調査する過程で大量の女性たちの死体が出てきたことで発覚した。しかし国はその事実を認めること無く、教会もまた然りと言わんばかりに憮然とした態度を見せたのです。怒りを覚えたのは、辛うじて施設から脱出できて、自由を取り戻した元少女たちに他ならない。

彼女たちは責任を追求するため、国家関与を認める真相追求とそれに伴う自分たちへの補償を求める訴えに出るのだった。当然の行動でしょう、命あっての物種などと言えない苦痛を何年と味わわせられた事実が変わることはなく、あまつさえ都合の悪いことを隠そうとする国を糾弾することに非を覚える言われなどない。

遂に認めた

強固な姿勢を崩さなかったアイルランド政府側だったが、3年前の2013年にて遂にマグダレン洗濯所にて行われていた非道の数々、教会と国が隠蔽し続けてきた闇はまさしく真実であるとする声明とともに、被害者たちに対して同情を示されたのだった。発覚してから20年、この期間はかつて収容された女性たちにとって長過ぎた時間と言えるでしょう。

カトリックを信じていた人にすればすべてが信じられなくなり、国に対しての不信感も芽生えた人も当然多いはず。

だが首相は個人として同情はするものの、国として謝るべきことはないとした姿勢を示したことで更なる不信感をもたらしてしまいます。こうした動きに対して教会が批判されない辺りが恐ろしいところかもしれません、アイルランドでは教会という存在がどれほど大きいかを示す手がかりとも言えるかもしれません。

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