名作、あなたを抱きしめる日まで

実話から考える、女性の貞操観とは何を意味するのか

時代に翻弄された女性の物語

命を育み、体から複数の生命を産み落とす女性の存在は時として神の御使として崇められることもあります。かのキリストを受胎して産んだ聖母マリアのように、彼女の存在は人類史に神の子をもたらしてくれたと後世ずっと語られ続けているのがその証拠だ。それは大変素晴らしいことだ、宗教とは関係なく純粋に受け継がれてきた文化として見るなら、これ以上ないほど芸術的な賛美を贈るに値するものでしょう。

しかしそうした価値観により、時代によってまるで自分たちが神の赦しを請うことすら許されない業を背負っているのだと蔑まれ、疎まれ、絶望を与えられた女性たちが存在していることをご存知ですか?私達日本人は世界の、特にキリスト教というものに当てられているところがある。実際、それをきっかけとして改宗、もしくは留学を決意するといった行動を取る人もいるでしょう。ですが実は表面上の事しか知らず、本質的な部分で深く、暗く、蠢く闇の存在を見つけた時に唖然とする人もいるはずだ。

宗教とは人々を時として救うものとして称される、けれどその価値観が一部の人間、中でも女性たちから人間としての尊厳全てを剥奪するという所業すら行っていた事実もあるのです。実話を描いたとして映像化されたあなたを抱きしめる日まで、イギリスのドラマ映画として公開されて話題を博した作品だ。この作品から見えてくるのは、日本人が無我夢中といってもいいほどに憧れを抱く、キリスト教派の1つ、世界最大とも言える信仰者を募っているカトリックが行ってきた歴史の裏側を垣間見させる作品となっています。

作品概要として

あなたを抱きしめる日まで、この映画を見たという人も多いと思います。日本では2014年に初上陸しましたが、世界ではその前年2013年から公開されてイタリアを皮切りにイギリスへと流れて作品の存在が知れ渡ります。同作品で注目したいキーワードとして挙げられるのは、生き別れた息子との再会だろう。

主人公は老淑女であるフィロミナという女性で、彼女にはかつて息子が1人いたが、とある事情から強制的に引き離されてしまい、以後その行方は知れることはなかった。息子の存在を常に思いながら50年という時間を過ごすも、誰に気取られること無く彼女はひたすら何処かで生きているだろうと信じている息子を探していたのです。そんな彼女の様子に気づいたのは他でもない、息子の後に生まれた娘のジェーンだった。

母の様子が気にかかり問いかけると、実は自分には兄がいたという事実を知らされて当然驚く。最初こそ捨てたのかと怒りを露わにするも、無理やり引き離されてしまったという切実な無念を告げる母の姿に、ジェーンは嘘は付いていないことを察した。本当に愛していた、だからこそ今も探しているんだという母の言葉に、自分は何かできないかと考えていると、とある1人の知人の存在を思い出します。その知人こそ、この後フィロミナと共にイギリス・アメリカと渡り歩いて彼女の息子を探す旅に出かけるジャーナリストのマーティンだった。

訳を聞いたマーティンはフィロミナ自身と直接対話し、彼女の息子について本を出版するという条件付きで何処にいるかもわからない息子を探し始めるのです。その旅が何処に行き着くか、この時の2人にはまだ想像もしていませんでした。

作品評価について

映画という作品は内容について、常に賛否両論が巻き起こるものです。世間では良作といわれるものでも、批評家などにしてみれば時に批判されてしまうこともある。別段それが問題だと言うわけでもないが、問題どころか批評家がけなすどころか褒めるばかりの意見が集中するという現象もいささか奇妙だ。

何を話しているのかというと、このあなたを抱きしめる日までという作品は公開された直後、多くの批評家が内容を絶賛するという事態に見舞われたのです。これは正直凄いことだ、物足りない部分こそあると語る人もいたが、意見が中傷めいた内容となるものは本当に少なく、映画としても作品としてもこれほど完成されたものはないとまでいわれたのだ。結果、映画批評サイトでは160件ほどのレビューが集う中で、なんと批評家支持率がまさかの90%超え、作品としての評価も10点中平均で7.8点という高得点を叩きだしたのだ。

批評家たちの意見をまとめると、

『魅力溢れる実話に基づいている上、実力派俳優たちによる名演により作品の重厚さが生まれ、目利きの観客すら虜にして感動を与えた』

というのだ。海外の作品は現地の人にしても娯楽として広く浸透しているため、評判は特に厳しい。日本の作品などミソカスとばかりに叩かれてしまうので、よほどの自信作でなければ大成することはない。そう考えると日本の、国内ではトップアイドルなどと揶揄されるような青二才が演じる映画など、海外ではお遊戯会にすらならない駄作と評価されるはず。日本から名作が生まれてこないのは、海外視野を含めて作らない、エンターテイメントを重視しすぎた大衆映画ばかり作っているからだろう。

金獅子賞にノミネート

あなたを抱きしめる日までは数多くの映画賞にもノミネートされ、その作品の完成度がどれほどのものかを象徴しています。受賞こそ少ないものの、中にはノミネートされるだけでも凄いものもある。それはヴェネツィア国際映画祭において、最高作品賞として贈られる金獅子賞を受賞するかどうか注目を集めていた。この金獅子賞はいわゆるベルリン国際映画祭での金熊賞と同等の賞となっている。日本人初として受賞した宮﨑駿さんの千と千尋の神隠しを始めとした、世界的にヒットした作品に送られる名誉ある物なのです。

残念ながら受賞とはならなかったものの、同映画祭でLGBTに対して深く表現した作品に送られるクィア獅子賞脚本賞を受賞した。数多く出展されている中でいえば、2つ受賞するだけでも凄いと言えるでしょう。

正直名監督、とは言いがたい

意外だったと感じる人もいる、この映画はそれだけ予想されていた以上に良作だと言われているのです。どうしてそのように言うかというと、同作品の監督を手がけたのは正直有名人と呼ぶには少し違う存在だからだ。

あなたを抱きしめる日までの監督を務めたのはスティーヴン・フリアーズという方で、これまで作ってきた映画の中で確かにベルリン国際映画祭では銀熊賞を受賞したこともあり、実力的にも十分だと言える人だと思える。ですがそれも90年代に限っての話。00年代においてはまともなヒット作を生み出すことが出来ずにいたため、そうしたことも批評家達にすれば評価対象の内に含まれてしまいます。

良い意味で今回、そうした偏見を打破したと言えるでしょう。監督としても世界的に評判を集め、名誉ある金獅子賞こそ受賞できませんでしたが、映画そのものは高い評価を受けたという事実は変わらない。これだけでも十分すぎる成果だといえる。

他人事ではない

けれどどうしてこれだけの話題を振りまいているのか、その点を読み解いていくと海外、それこそ宗教に携わる全ての人たちにとって無関係とは言えない歴史的事実と、実話に基づいたリアルな史実がそこに刻まれているからだ。そこから見えてくるのは、今でも宗教観として根付いている1つの点に集約していきます。

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